トピックス

6月からは鋼材全般の価格大幅UPへ

『止まらない鋼板価格上昇』
5月に入っても海外要因での鋼板価格の上昇が止まりません。
中国の輸出が大幅に減っていることや、アジアでのホットコイルの上昇も異例のスピードと幅で広がりを見せ、様々な製品の元となる鋼板コイルが年初からほぼ2倍の高値で海外市況が上昇を続けています。

20210511日本経済新聞

 

『資源高は世界的にすべての資源へと波及』
世界的な資源の高騰が進んでいる。
前回の5月の解説でも触れましたが、国際的に資源全般の高騰が続いています。鉄鉱石やスクラップはもちろん、木材、油(重油や食用油も)、紙などの様々な素材資源が世界規模で不足しており、ある意味争奪戦の様相を呈し、価格高騰を続けている状況です。
そのため、5月のスクラップ価格は前の月に少し落ち着いたかのように見えたことの反動も含めて10%を超える値上がりがおこりました。実に、12年ぶりの高値に突入してきました。

20210512日本経済新聞

20210512鉄鋼新聞

 

『内需の停滞感をよそに建築資材などにも価格上昇が飛び火』
旺盛な米中の需要に対して国内の需要は低迷しています。しかし、原料高と鋼板類の品不足から端を発し、派生製品の値上げがすすみ、建築用の鋼材にも高値の波が押し寄せてきました。国内の需要の停滞の折り、火が付くような加速的な上昇にはなっていないが、品不足やメーカーの供給枠の減少などにより、H型鋼などの建築資材にも値上げが飛び火、すでに10%以上の値上げ幅が市中品に起こっています。

20210516日本経済新聞

20210517鉄鋼新聞

 

『東京製鉄が6月契約も大幅上げ、鋼板以外も大幅値上げ』
そんな状況下で国内の鋼材価格は東京製鉄が6月契約で品物によってトンあたり1万円~1.8万円の値上げを表明しました。鋼板類に関しては5月に引き続き合計すると2万円以上の値上げ、建材などの他の品種も1万円以上の大幅な値上げを表明、品物によっては値上げ幅が過去最高の値段のものもでています。需要や顧客の状況などは全く度外視した、メーカー主導による大幅の値上げです。

20210518鉄鋼新聞

 

『建材鋼材製品の値上げはすべてのメーカーに』
東京製鉄に引き続き、各メーカーが建材向け鋼材の値上げを表明しました。H形鋼はトン当たり1万円、異形丸棒鋼は10%ほどの値上げになる見込みです。内需は停滞感のある中でもスクラップ高などの状況が続き、メーカーも各社そろって鋼材全般の値上げを断行してきました。
ただ、値上げ幅は鋼板類に比べて半分ほどにとどまっています。

20210519鉄鋼新聞

20210521鉄鋼新聞

 

『6月は2次製品にも値上げが波及』
建材市況の値上がりとともに鋼板を利用して作成する2次製品も値上げが波及しています。丸パイプ、角パイプ、C形鋼など、多くの品種にわたり各メーカーが値上げを表明し、6月にはそろってほぼすべてのメーカーが値上げを通達しています。鋼板類は昨年比1.5倍から2倍に迫る勢いですが、2次製品などはまだそこまでの幅ではないにしても、今回の大幅値上げに続き、再度の値上げも予告してきていて、どこまで上がるのか予測もつかない状況が加速しています。

20210519日本経済新聞

20210521日本経済新聞

 

『鋼材値上げは経験のないレベル、先も見えない。夏では終わらない』
鋼材値上げは、天井感や踊り場の見えない予測不能な状況に入っています。私たち鋼材流通業者でも経験のない「需要の無い国内値上げ」の局面は、年初には比較的短期間で落ち着くのではないかという推測を立てていましたが、まったく先行きの見えない状況になってきました。現在メーカーへの申し込みやオファーをしている鋼板類をはじめとする鋼材は、7月から9月ごろに入荷してきます。すでに年初から大幅な値上げをした鋼材が入荷し始め、さらに過去に類を見ない値上げ幅の鋼材が夏場にかけて入荷します。私たち流通業者はこの過度に高い鋼材を受け入れ販売していかねばなりません。もちろん、数量も限られているので、潤沢に入荷するわけでもありません。ないものを需要の無い中で値上げしていかなければなりません。
今後はお客様の需要と信頼を裏切らないように精一杯の努力をして参りますが、何かとご不便やご迷惑をおかけすると思いますが、なにとぞ、趣意ご理解の上、今後ともご高配頂けますよう、よろしくお願い致します。

2021.5.30
アダチ鋼材株式会社
info@adachi-k.co.jp